anguish

ラブレスのanguishのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
4.0
From reviews by non-followers
◎一回り回って観ごたえ有りましたね、胸糞映画っていう先入観が功を奏したと思う。人は常識から外れると攻撃的になる、群れからハブられる事を恐れて隠している感情、実際は人類の半分ぐらいはいるんじゃないと思わせる。人間は美しい生き物じゃない。

離婚が決まり家は売却中、夫は身籠った若い女に、妻は歳上の男性と。二人は今にも新しい生活に心を置いている、そして二人の結び付きであった筈の12歳の息子アレクセイの親権を二人は拒否していた。それを物陰から聞いていた息子は泣きじゃくる…

生まれた時から「愛」 を持っている訳ではなく、形も様々である。環境によっても左右されていく。よく「それでも母親か!」ってセリフがある、産むことが出来きるのは女性だけなのでどうしても比重が置かれてしまう、言葉通りなら誕生した瞬間から「母」であろう、男性は違う「絶対的」なものがないから、世間的には「父」となる、愛がなくても…そこに感情を挟むのが人。

ボランティアによる捜索の感情を感じさせない淡々と段階を踏んだ行動が興味を引き付け、ステータスを気にする夫、関わった人に愚痴をこぼす妻。男と女は人間でありながら別の生き物なんだと思わせる感覚の違いをまざまざと落とし込んでくる。

スタンドカメラによる撮影が目を引く、ある意味みやすいかも。この破滅していく夫婦のルーツが見事に描かれていて納得の答えである、因果は廻る。iPhoneの登場で変わり行くコミュニケーション、良いか悪いか、私は良くないと思う。最後に二人が世間体だけでなく僅かながらの「情」があったことが救いだった。

20210206-22(262)
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