Voveam

ラブレスのVoveamのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
4.7
もっと早くに観たらよかった…。2014年クリミア危機から続くウクライナ紛争が下敷きか。おとな達は自分のことだけ。犠牲になるのはいつも子供たち。

他のユーザーの感想・評価

あらん

あらんの感想・評価

4.5
愛のもと生まれてきたのに
大人の勝手で必要とされなくなる少年が悲しい
行方不明のままでいるのは復讐に思えてならない
takuto

takutoの感想・評価

4.1
素晴らしかった。
派手な演出はないが、淡々と人間の醜く寂しい部分が剥き出しになっていく。
崩れた人間性と対比するように均等のとれた構図や、秋と冬の間の曇ったロシアの空が、悲しさを際立たせていた。
そして凄惨な政情を伝えるテレビやラジオ、宗教、不倫相手も抱えてる問題が挟まる。
世界に愛が足りてない。
自己中な親の子供って哀しい
全然相手にしてなかったのに、家からいつの間にか居なくなったとしったら大騒ぎ、警察にあたり、ボランティアに頼り…面倒な人達だ
藤澤新

藤澤新の感想・評価

4.9
そこに愛はあるんか。というよりも、そもそも愛はあるんか(存在するんか)と思った。愛だと思っていたものが愛じゃなかった。父も母も結局おんなじことを繰り返す。愛が無いからいけないのか、愛があると信じているからいけないのか。

ずっと空虚、物足りない感じがした。登場する人がみんな空っぽ。中身がないとか、人間としての厚みがないとかそういうことではなくて、空っぽな感じがした。けど、あの息子だけは中身が詰まっている感じがした。涙が温かい感じがした。友達はビミョーだけど。
ジジイ

ジジイの感想・評価

4.0
ロシア語の原題は「非愛」であり単に「愛が無い」というより、より強く「愛の対極」をイメージする言葉だという。ニュアンスとしては「憎しみ」ではなく「無関心」が近いのではないか。ここに登場する夫婦は確かに最低なのだけれど、自らの幸せを渇望するあまりに、周りに対する思いやりを無意識のうちに忘れ去っているという意味で、われわれとそこまで遠くない。身近な人たちを幸せにすることが結局、自分自身を幸せにする近道であること。それはきっかけさえあればいつでも呼び戻すことのできる真理だと、この作品は信じているような気がした。





以下ネタバレです。






何と言っても冒頭の、子どもが両親の会話を聞いてしまうシーンの衝撃がすごい。翌朝逃げるように家を飛び出した小さな背中を最後にわれわれは二度と彼の姿を見ることができない。これは監督が最初から決めていたことだという。だからこそラストの川面を不気味になぞるカメラの視線に、観客は底知れぬ恐怖と絶望と悲しみを覚えるのである。そして「エレナの惑い」がそうだったように今作でも、登場する3つのアパートは全てスタジオのセットである。自然光としか思えない絶妙な照明と撮影のマジックに今回もしっかりと騙された。人探しのボランティア団体は実在のもので、ロシアの広大な国土の中で相当な成果を上げているという。鑑賞しながら道志村の出来事が何度か頭をよぎった。
きのこ

きのこの感想・評価

4.1
あの両親が求めている幸せや愛ってなんなんだろうって事態が深刻になるにつれてふたりの言動ひとつひとつに悲しさと苛立ちでいっぱいになる。環境や側にいる人を変えても似た問題を変わらず繰り返していくんだろうな、、

でも母親をみてきっと彼らもそういう環境で育ってきたから解らないのかもしれないなって思ってしまった。渇望してるモノは目の前の気づきから始まるのに。

テレビやラジオからの情報と寒くて曇った空がより心を重く暗くなったし、アレクセイが声を押し殺してドアの裏で泣いてたシーンが忘れられない。今すぐあの家から連れ出してあげたくなった。暖かくて安心できる場所でどうか生きていてほしい。


身近な人と寄り添い合って受け入れ合って支え合って感謝できる日常に愛を感じる人になりたいと改めて思わせてくれたから、観れてよかったです。
★★★liked it
『ラブレス』 アンドレイ・ズビャギンツェフ監督
Loveless

ロシア発
◎タルコフスキー風味映像
離婚する夫婦&犠牲となる息子

空虚&思いやりのない社会
as ポスト社会主義ロシアの危険性

捜索するボランティア
= 社会主義から受け継がれたコミュニティ

政権批判&失われたもの

Trailer
https://youtu.be/PEzM9-UGTkk
ボリスとイニヤは離婚が決まっており、お互いすでに新しいパートナーもいる。
そんな中、息子のアレクセイをどちらが引き取るかで口論になり、その会話をアレクセイが偶然にも聞いてしまう。
翌日学校に行ったきりアレクセイが行方不明になり、二人は捜索願いを出すが…

まぁ〜どこまでも救いのないお話。
重たいし、胸糞です。まさに映画の頭からケツまでLOVEがLESSしてます。
もうお互いに新しいパートナーも生活も控えていて、息子はどっちが引き取る?問題で口論してるシーンがヒドいこと。
お互いの主張も全部自分のことだけで、一切息子の心配をしていない。
「好きの反対は“無関心"」なんて言葉がありますが、まさにそれを体現しています。
その会話を聞いて、声にならない声で泣き叫ぶアレクセイが観てられない…。
行方不明になる前日も、お互い新しいパートナーとイチャコラしていて、アレクセイが帰ってないことに気づきすらしていないし…。
そのイチャコラシーンを妙に生々しく、長めに観せてくるのもワザとなんでしょうね。

んで、行方不明になったあとも警察に相談するけどどこか塩対応。
イニヤの母のところを訪ねてみるけど、ものすごい剣幕で罵られるだけで追い出されてしまう。
二人とも捜索はしてるけど、どこか上の空な感じ。
ほんとにアレクセイの身を案じているのはまったく関係のない市民ボランティアだけでは?と思ってしまう。
出てくる人みんな、LOVELESSだよ…。

そんな二人が迎える結末とは。
明確な結末は提示しないけど、そりゃあこうなるわなっていう展開。
劇中もほとんど音楽がないし、ロシアの寒そうな冬景色や灰色の画角がメインなので終始ドンヨリします。
「愛」ってなんなんだろ…。
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