通りすがりの旅芸人

ラブレスの通りすがりの旅芸人のレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
4.0
 少年の歪んだ表情に、胸がしめつけられる。
アレクセイは12歳、離婚目前の両親にはそれぞれ恋人がいる。どちらが息子を引き取るか、押し付けあっているのだ。

 美容院の敏腕マネージャーの母親はスマホを片時も離さずSNS に夢中で、息子が涙すら気がつかない。一流企業に勤務の夫は妊娠した若い愛人のご機嫌とりと会社での体面を保つ(離婚したらクビ!)のに必死
  
 言葉少なく、ただ耐えるしかないアレクセイは、その後物語の中からぷっつりと姿を消す

 東京と変わらないイケテる都市生活とは対照的に登場する、郊外の豊かな自然に雪がしんしんと降り、青く澄んだ映像美が印象的です。登場人物たちの胸のうちをよく物語っていました。

 警察があてにならず、行方不明者を探すボランティア隊があることや、ロシアのウクライナ侵攻(映画のなかでは内戦とされている)の偏向ニュースなどロシア特有の事情も描かれていますが、夫婦の別離の中で生まれる憎悪、いつの世も子供は弱い存在、いなくなって初めて分かる大切な存在という普遍的な事実は共感できるはず。

どうでもいいことですが、ロシアの一流企業のカフェテリアのメニューにもボルシチがあるんだとか、その炭水化物だらけのランチは栄養のバランス悪くない?と気になりました。あとラストで妻(おされな都会人の設定)がきているジャージの胸元のデザインがダサい