MasaichiYaguchi

ラブレスのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
3.8
本当の幸せとは、愛ある生活とは何なのかを「父、帰る」「裁かれるは善人のみ」のロシアの鬼才アンドレイ・ズビャギンツェフ監督は、近隣諸国の内戦ニュースと終末感溢れるロシアを舞台に、ある一家に起きた12歳の息子の失踪事件を通して反語形で我々に問い掛ける。
描かれた一家は、父は一流企業のサラリーマン、母は美容院のオーナーという富裕層だが、夫婦関係は冷め切っていて、双方共に既に新しいパートナーがいて離婚協議中で空中分解寸前。
両親の離婚でいつも犠牲になるのは子供で、本作では息子アレクセイが彼らのエゴによって居場所を失っていく。
映画は、この両親夫々の愛欲塗れた日々と彼らのエゴによって失踪した息子の懸命の捜索を並行して描いていく。
果たして息子の行方は、そして彼を見付け出すことが出来るのか?
アンドレイ・ズビャギンツェフ監督作品らしく予定調和を排除し、シニカルで苦味のあるドラマを繰り広げる。
本作はロシアを舞台にしているが、描かれた内容は離婚件数や児童虐待が増加し続けている日本においても無縁ではないと思う。