木葉

ラブレスの木葉のレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
3.4
殺伐とした冷血な映画。
圧倒的絶望感を終始味わう映画。
愛の不在より心の不在を感じる映画。
監督の父帰る、ヴェラの祈り、エレナの惑い、裁かれるは善人のみを観てきたが一層禍々しさ、殺伐感が増してきている。
離婚を進めている夫婦にはお互い恋人がいて、一刻も早く離婚して家を売り新生活を再スタートさせたいと願っているが、彼らには一人息子がいて子供の親権を押し付け合う。
息子アレクセイの視点から描かれてないのが残念だが、明らかに両親からイジメやネグレクトを受けており、居場所がなく家ではずっと泣いている。
子供の視点からすると、泣きたくなるしなぜ愛されないのに生まれてきたのかと思うと思う。
そんな時息子アレクセイが失踪する。
母親や父親は新しい恋人のことが一番だから2日後くらいに判明し、それからは少し必死になり探そうとするのだが。
母親は、スマホばかりで父親は自分のことだけ。お互い自分の欲、我、しか考えてなく他には無関心、無感覚過ぎるから痛すぎるし怒りすら感じる。
ハッピーエンドや苦い銭でも思ったが終始スマホを観ていて、人と話すよりスマホ見ている時間の方が長い。
ロシアの荒々しい寒い広大な土地が人間の空虚さ冷酷さを一層増す。
母親と父親が招いた悲劇は彼らの罪と罰を見せられているかのよう。
母親父親共に露骨過ぎる感情むき出しで酷薄過ぎるが、これはともすれば私たち現代人の映画でもないかと考えてしまう。そのうち、愛だけでなく、心すらなくなってしまうのかもしれない。
木葉

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