たま

ラブレスのたまのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
4.2
LOVE "Less"なんてもんじゃない、"Hollow"でしょ。一秒たりとも日照時間のない極北の空の下、終始虚ろでペラペラの人間がエゴを吐き出してる。破綻し親権を押し付け合う夫婦の一人息子が失踪し、という話でドロくさいヒューマンドラマかサスペンスかと思ったらとんでもない、底冷えする画面に終始マウントを取られ冷たい床に押し付けられ続ける心地でしたよ。こんな虚ろで静かな力技なかなかないです。
中盤中弛みかと思ったのだけど、感極まった母親の口を突いて出たあの一言、アレが「俗」とか「下衆」とか「哀」とかもう全部象徴しちゃって体感温度がぐぐっと下がってしまった。アレ言わせる脚本家....恐ろしい....。

これは刺さる人とそうじゃない人、二極端に分かれるでしょうね。そして刺さる人は、私を含めてたぶんこの大人たちの側になることを予感したり恐れたりしている人。

最初と最後のピアノの音がこれを「作品」足らしめたと思うのですが、そういえばこれ劇中音楽あった?深深とした画面しか記憶にないのは私の心象が絡め取られていたからなのかしら。
たま

たま