キャッチ30

ラブレスのキャッチ30のレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
4.0
景色は壮観なのに、あまりにも不条理な結末に辟易した。前作の『裁かれるは善人のみ』を観た私の感想だ。今回の『ラブレス』でも同じだ。監督のアンドレイ・ズビャギンツェフは冷徹な視線を終始崩さない。

ボリスとジェーニャは離婚しようとしている。彼らにはそれぞれ別のパートナーがいる。障害は息子のアレクセイだ。どちらが引き取るかで口論になる。それを聞いていたアレクセイは失踪する。

その後の展開は単調な作りになっている点は否めないが、ズビャギンツェフの冷徹な視点は一貫している。先ず、彼は登場人物を批判的に描いている。スマホで自撮りし、自己愛に溺れる人間の姿。妊娠した時から息子を愛せなかったジェーニャの愚かさ。日本で子供が虐待死する要因もここにあると思う。

好き嫌いは分かれるかもしれないが、一見の価値はある作品だ。子供の行方については解釈が委ねられているが、湖の描写で既に気づいているかもしれない。