12歳の息子の失踪を軸に、自己愛に満ちた大人たちを描く作品。
「セルフィに乾杯」
序盤に少年が声を殺して泣く。一度は激しく、一度は静かに。だが、どちらの時も両親はそれぞれ自分のことしか見えず、気づくことはない。
フライヤーには「幸せを渇望し、愛を見失う」とあるけれど、そもそも、両親である二人は幸せや愛なんか求めていないんじゃないのかと思う。欲しいのは誰かや何かによる、自分の肯定だ。
ラストシーンを含めて、両親が何を言おうと何をしようと、監督の意図がどうだろうと、私にはこの作品の中で愛を見つけることはできなかった。度々挿入される暗いニュースも世紀末感が漂う。
今日は暑いほどの陽気だったのに、観賞している間、ずっと寒くて仕方がなかった。