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ラブレスのnamugeのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
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離婚寸前の夫婦の問題はどちらが息子アレクセイを引き取るかということだ。

お互い別のパートナーを持ち、新しい生活に踏み出そうとしている2人にとってアレクセイは厄介者でしかなく2人は互いにアレクセイを相手に押し付けようとする。

この物語のキーパーソンであるアレクセイではあるが劇中彼はほとんど姿を現さず、不在の中心であり続ける。カメラがスクリーンに映し出すのはもっぱら彼の両親とそのパートナーたちの姿である。

自分自身を愛し過ぎてしまう彼らを表しているのが劇中頻出する自撮りシーンだ。他人よりも自分の都合ばかりを考えてしまう彼らの姿は誰にとっても共感せざるを得ないものだと思う。

自分たちの都合を優先させて掴み取った新しい生活にはどこかぽっかりと穴が開いていて自己愛の空虚さを物語っているように見える。
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