ここ2~3年作られた映画から、無関心・不寛容・他者との分断などの世界的な潮流が見てとれる。
連打するピアノの単音、街一面の雪景色、青白銀の寒色系で占める画面の配色、冷えきった夫婦関係に、見ていてこちらの身も心もキンキンに凍てつく。小学校のカーテンまで青色なんだもの。
冬にひび割れた唇に寒風が吹きすさみ痛みがずっと続くような映画。
子供をないがしろにしたネグレクトな両親は「こんなはずじゃなかった‥」と身勝手に嘆き、家族がいち大事なときも心配の矛先を一向に子供に向けない姿には空恐ろしさを覚えて心から震えた。
後半のシンプルな展開に時間を使うより、自分の事しか考えない大人たちがその後の人生をどのように送るのかがもっと見たかった。けれど、警察の動きとかそれに伴う民間ボランティアの役割が細かく描かれてたのは良かった。
リビングでの夫婦喧嘩を、廊下の暗闇で顔をしかめて泣いている息子の顔が頭にこびりついて離れない。