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ラブレスのレクのレビュー・感想・評価

ラブレス(2017年製作の映画)
4.0
‪人間関係の対照性と類似性、対称的な構図と長回し。‬
‪"家族の失踪で愛情を再確認する"従来のそれとは真逆からのアプローチが"家族の失踪で再確認する無関心さ"を克明に映し出す。‬
‪どれだけ探しても見つからない愛の不在。‬
‪虚しく空いたその穴を埋めるものは幸せか、それとも不幸か。‬

我が子に愛情を注ぐ立場であるはずの父母が、ダブル不倫で幸せを渇望する自分本位さ。
それ故に愛されることのない息子の立場は"孤独"というものを本質的に象徴し、そんな両親の無関心さに対して失踪という形で存在を主張する。
夫婦喧嘩を目の当たりにして涙する息子の姿に胸を抉られた、重すぎる。

ただ、この映画は失踪事件の真相や答えを求めるものではない。
利己的な人間の性によって生じる末路、そして無関心や無気力といった自分にとって不都合な物事から目を逸らしがちな現代社会に対する警鐘なのだろう。
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