すばらしい。
「生と死」でもない、「成功と失敗」でもない、「道徳」でもない、「ストーリー」でもない“結論”つまり“答え”が、この、ラッキーの「生き様」であり、「無(nothing =ウンガッツ)」なんだと、この映画は言っている。
観終わったあと、それぞれの何気ないシーンがよみがえる。
バーの定員がラッキーの家を訪ねたときのラッキーの対応、電話で少年時代の記憶を話すラッキー、”くだらない会話よりも気まずい沈黙の方がマシだ”、バーで戦争のときのの記憶を話すラッキー、、、
その中でも、友人ハワードの、ペットであるリクガメ、ルーズベルトへの執着の変化が縦軸になっているのだが、その彼が執着を捨てることを告げるシーンでは妙な納得感を与えられる。
そこで、“タバコを吸うか吸わないか”ー。
ラッキーの“説得”の仕方に新しさがあり、それこそが“答え”となっている。
個人的には、ラッキーの“他人への距離感”に自分と似たものを感じた。ラッキーしかり、『人生フルーツ』のしゅうへいさんしかり、僕はおじいさんの生き方にすごく親近感を覚える。
「所有はまやかしだ」という台詞は、僕の中に自然と吸収され、言葉となり、とても気持ちが軽くなる思いがした。