あやカフカ

ラッキーのあやカフカのレビュー・感想・評価

ラッキー(2017年製作の映画)
4.7
これは…とんでもない作品に出会ってしまった。
たったひとつの単語がこんなにも沁みる。なんというかそっと心のスイッチを押された感覚。
エンドロールの最後の最後まで涙がとまらず、観終わって話しながら思い出し泣きする始末。
なんならレビュー書いてる今でもじんわりきてますよ。

「死ぬのって怖い」
誰しもが直面せざるを得ない、誰しもが考えたことのある普遍のテーマ。
死を恐れるからこそ、とある人は信仰をもつ。何かすがるものをもつ。あるいは家族がいることが死に臨む上で大きな支えになるかもしれない。
じゃあひとりだったら?
死んだら「無(nothing)」だと信じていたら?
どうすればいいんだろう?
そんな究極の問いにラッキーがそっと下した答え。
これがもう柔拳のようにササります。

映画自体は淡々としていてコンパクトで言葉少な。
無駄がないからこそ輝く言葉の数々。気を抜いていると見落としてしまうくらい。
そういう意味では観る側も試される作品というか。
実際、もう一度台詞をきちんと追うためにもっかい観たいなー、と思う。(そしてまた泣くんだろうな…)
ちなみにnothingを「無」と「空」に表現し分けた字幕翻訳者は攻めたなー、と思う。

主人公ラッキーを演じるハリー・ディーン・スタントンさんが亡くなっていることを考えるとより一層感じ入るものがあり。
どんな思いで役柄に挑んでいたのだろうか。
むしろラッキーは彼自身なのでは、と感じざるを得ない。これは彼の人生の集大成なのでは、と。
ラストにカメラに向ける表情。その時初めてラッキーと私自身が向き合ったようで。色んな思いを一手に受け、そこはかとなく湧いてくる感情にクラクラきちゃいました。

心の底から出会えてよかった、映画館で観れてよかったと思える一本。
存在を教えてくれてありがとう。
映画に誘ってくれてありがとう。
(いーや、これほんとに点数つけらんない!)