あをによし

ラッキーのあをによしのレビュー・感想・評価

ラッキー(2017年製作の映画)
3.9
『パリ、テキサス』などで知られる名優ハリー・ディーン・スタントン(以下HDS)の最後の主演作。一人暮らしの老人ラッキーが死を意識しながら過ごす人生の最期の日々を描いた本作は、まるでドキュメンタリーかと紛うHDSの所作や佇まい、デヴィッド・リンチ演じる友人のペットのリクガメ(王の気高さとおばあちゃんの優しさがあるらしい)の話を始め、哲学的な会話、繰り返し出てくるnothingという単語など、示唆に富んだ内容で、HDS最後の主演作にふさわしく、まるで文学作品のような深みを湛えたものとなっている。
死とは何か、という問いの答えはそれぞれの人生で違ってくるだろう。なぜならば、死とは生きたことの証だからだ。この作品には、それがある。
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