じいちゃん！いるかぁ？
DVD持ってきたぞ！
白風堂のモナカも買ってきたぞ！
ん？
家の中は静まりかえっている。
居間へ行く…飲みかけの茶碗が置きっぱなしだ…
「じいちゃん！」
冗談じゃないぞ…どっかでぶっ倒れてる訳じゃないよな？
トイレと風呂場を覗くけどいない…
「じいちゃーん！」
「ラッキー」
へ？これのどこが面白いの？と思う人も多いかも知れないが…この映画はイーストウッドの「グラン・トリノ」と同じだ。
イーストウッドが「グラン・トリノ」を撮ったとき…あまりの素晴らしさに「イーストウッドが死ぬ！」とおれは直感しました…その後10本ぐらい映画撮ってまだピンピンしてるけどね…😁
ハリー・ディーン・スタントンの場合、本当にこの「ラッキー」が遺作になってしまった。悲しいけど何て見事な人生なんだろう？これが遺作だなんて俳優として素晴らしすぎるだろ？
この内容！始まりから終りまで奇跡のような映画である。
ハリー・ディーン・スタントンといえばＳＦ好きなおれには「エイリアン」一作目…ノストロモ号の機関士の役だなぁ…と思ってみてると…行きつけのダイナーで戦場で微笑んだ日本の少女の話をする退役軍人はトム・スケリット！ノストロモ号の船長じゃないか！
ハリーが「ボーナス貰わなきゃやってられねぇな…船長！」って言いそうでドキドキした。
「ストレイト・ストーリー」がらみでなんとデヴィッド・リンチは出てくるわ、この「ラッキー」の監督・ジョン・キャロル・リンチは俳優でもあり、さっきの「グラン・トリノ」の床屋の親父じゃないか！
もう…何もかも奇跡のような映画だ。
マリアッチのシーンはホントに奇跡が舞い降りたみたいでおれは泣いてしまいました💦
「じいちゃーん！」
待てよ…あのじじい…時々こういう子供じみたイタズラするんだよな。
どっかの押し入れの中かなんかで息を潜めてて…そのうち「ビックリした？死んだと思った？」とか言いながら出てきそうだな。
「じじい！出てこい！モナカ食っちゃうぞ」
二階にも上がってみたし、庭の納屋も見たがいない…
おれが焦って顔色変えてるとこに…あの…誰もが騙される癒しの笑顔で現れるに決まってんだ…
「おー孫！うるせーぞ」って言いながら…
「『オーシャンズ8』も持って来てるんだぞ！じいちゃーん！」…
