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ラッキーのcoroのレビュー・感想・評価

ラッキー(2017年製作の映画)
3.8
オープニングに登場する、痩せ細って落ちくぼんだ眼窩がまるでゾンビのような男が、ハリー・ディーン・スタントンだと気づくまで少々時間を要した。
毎朝決まった時間に目覚め、いつも通りの一日を過ごす。まるで、詩を綴りながら日々を慎ましやかに穏やかに過ごすパターソンの老後を見ているかのよう。パターソンと違うのは彼が独り身だということ。そして人生の終わりが近づいているということ。
死を意識し始めた彼のとる行動が可愛くて、愛おしくて、思う気持ちが溢れて、落ちて、苦しいに変わる。

人生の意味や価値を哲学的に綴り、深い余韻を残しながらも死ぬことは死ぬときになってから考えようって、最後に微笑むことのできる素敵な作品。

有形のもの、無形のこと。でも、まったくの無なんてない。無から生まれる無なんてないのだから
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