イトウモ

母という名の女のイトウモのレビュー・感想・評価

母という名の女(2017年製作の映画)
3.3
ハネケ以来の嫌系映画で欲動に忠実なミドルエイジを描く。10代で妊娠した娘から母親は大人の権力と経済力でなにもかも奪い去る。冷たい固定カメラは人間を追わず、彼らの動作が一切テマティックな記号を残さないのはそこに意志がなく欲動しかないからか

嫌系映画をブレッソンのフィルモグラフィで『スリ』から『たぶん悪魔が』まで、作品を一貫した記号がなくなるまでの記録として辿ってみる。人間的な泥棒たちには意志がなく、動物的な消費者には欲動のみ。『母という…』が撮るのは人間ではなく建築だ。動物を容れるケージとして