ランティモス監督の『哀れなるものたち』が素晴らしかったので、気になって後追いで鑑賞。
アン女王は歴史上さほど重要な存在ではないが、どうも残された記録から本当にバイセクシャルだったらしい。
よくあるコスチューム劇と思いきや、ランティモス監督の作家性が爆発している。手堅い演出ではなく、『哀れなるものたち』同様に奇抜なレイアウトが次々と飛び出してくる。
この人は庵野監督のようなレイアウト主義者なのだろうか。
音楽は同時代のバロック音楽が多用されているがそこに挟まってモダンなミニマル・ミュージックも使われている。
衣装にもデニム生地を採用するなど、明らかに「歴史もの」としての枠組みにこだわっていない。
映画評論家が「3人から最高の演技を引き出したランティモスは」どうたらこうたらと間の抜けた評論を書いていたが、大半の映画評論家がいかに映像作品の特性を理解していないかよくわかる。
演技を引き出すことが最重要な作業なら、映像業界は舞台演出出身者の独壇場になっているはずだ。
ランティモスのトータルプロデュース能力はすごい。
他の監督作も見たくなった