ぴのした

女王陛下のお気に入りのぴのしたのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.1
最高!!今回は大衆受けする作品と聞いてたけど、ランティモスらしい毒々しさも満載の映画だった。大満足。

醜い女王。国の実権を握る側近。貴族に返り咲くのを狙う侍女。3人の思惑が絡み合うドロドロ宮廷ドラマ。

『バリーリンドン』×『ビガイルド』をイメージしてもらうと分かりやすいです。

ただ、この女同士の権力争いのドロドロ感と、ランティモス映画特有の美意識の組み合わせがこんなにも合うとは!

心が揺さぶられるけたたましいBGM。話を忘れて魅入ってしまうほど洗練された衣装や装飾。独特の三人称的なカメラワーク。

代表作『ロブスター』や前作『聖なる鹿殺し』でも印象深かったこれらの技法を今回もふんだんに使って、不穏な雰囲気と戯曲的なドラマチックさを醸し出す。

しかも前作2つほど難解ではない分、分かりやすく面白い。

宮廷ドラマって人物がわちゃわちゃしてて分かりにくいイメージがあったんだけど、この映画は基本3人だけの話なので結構シンプル。

要は「いかに女王に取り入って相手を蹴落とすか」ってだけの話だから分かりやすいのが良かった。

そして演出だけではなく、キャラクターがすごく魅力的な映画なんですよ。エマストーンの、目的のためなら手段を選ばない小癪さ。側近の、嫌味ったらしくも芯がある強かさ。女王の、何をやらせてもダメダメな子供っぽさ。本当に3人とも魅力に溢れてる。

ともかく、ランティモス入門編にはピッタリな映画なのではないでしょうか。めちゃくちゃ面白いのでオススメします。