シネフィル母ちゃん

女王陛下のお気に入りのシネフィル母ちゃんのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.5
男は蚊帳の外!!ってな感じのドロッドロな女同士の戦いにメロッメロになってしまった。
中世ヨーロッパの宮殿でのお話だが、コッポラ監督のマリーアントワネットのようなピンクや黄色などの可愛い色合いは無し。
黒や白を中心としたゴシックな色合いの中で繰り広げられる、ゴリゴリのバチバチの権力争い。いやー、参った。

タイトル通り「どっちの女が女王陛下に気に入られるか」がテーマだけれども、舵を取っているはずの女王がブレブレなので、全員が舵を取っているようで不気味だった。
こんなブレブレのルールなら永遠ループで依存や嫉妬や憎悪が繰り広げられそう。あぁ、目眩がする。
こういう皮肉満載さと後味の悪さがランティモス監督ぅ...って感じで大好き!
常に嫌な気持ちにさせてくれてありがとう!(褒め言葉)

そして、なんといっても主演女優3人の圧倒的存在感...!!
特にお気に入りはレイチェル・ワイズ演じるアビゲイル!
女王の孤独や依存心や性欲を上手く利用する頭の良さに惚れた...!
悪意に満ちた顔や軽蔑の眼差し。恐ろしくも美しい。
あの刺繍の眼帯も最高...。
アビゲイルの衣装と小物全てがツボすぎた。

オリヴィア・コールマンの狂人っぷりと弱さも「哀しき醜い女王」って感じで存在感が凄いし、エマ・ストーンの嘘泣きや渾身の鼻血や勝者の笑みや敗者のFワードも凄かったし、主演女優トリオがあまりにもパーフェクトすぎて「スクリーンから、圧倒的存在感のダダ漏れぇ...😭」って感じでそりゃもう贅沢な映画鑑賞タイムになった。
そして、
ピピーッ!圧倒的存在感がスクリーンで渋滞しております!ってなりそうなのに、そこを上手く交通整理しているランティモス監督には愛しかない。

不安を煽るような不協和音、突然のアクロバットな演出なども前作と同様バッチリ決まっていて心酔してしまった。