耐えて、堪えて、
脅して、怯えて、誘って
耐えて。
〜〜〜
18世紀のイングランドの王室にて
女王と女官と侍女が権力と愛を求めて、
その他諸々が政治を求めて、
ぐちゃぐちゃする映画。
全編を通して、
めちゃくちゃ陰湿なのに、
空気感はカラッとしている、
なんとも不思議な空間。
でも、そこにこそ
庶民の日常とのズレも感じる、というか。
そしてなによりもう、すんごく皮肉的。
イギリス風。
章ごとのタイトルも、
状況そのものまで
皮肉れそうな台詞ばかり。
どこで出てくるのか、
後半はもはや待ち侘びてしまう。
一音だけひたすら繰り返す劇中曲も
なかなか印象的。
意識しなきゃ忘れちゃうぐらいたけど、
なんもともいえない王室の陰湿さ、
そして、それを耐え忍ぶ、
アビゲイルの精神が投影されているかのよう。
主役三役とも、
多くの顔を見せる演技がえげつないけど、
アカデミー賞で主演女優賞を獲得した、
オリヴィア・コールマンが演ずる女王が圧倒的。
ただのわがままな幼稚さだけではなくて、
狂気さ、病みと欲望と苦痛。
狡猾さと残忍さ。
そして、最後のあの表情。
絶対存在の「王」の顔。
震える。
女同士というよりかは、
女性のうちに秘められた
男性性と女性性が
惹かれあって突き放しあっているように感じた。
特にサラは、男性性が強い。
未来に向けて抑えつけられた自我が、
立場という縦関係と
性という横関係で
三次元に激しく振られていく様は
なかなか重たいけど、
バロック式の音楽やフォント
歪んだ広角レンズとズームのないアップで
そしてアイロニカルな台詞とストーリーで、
どこか軽快に楽しめた。
衣装もセットも、
細部までこだわり抜いていて、
そういうのも見ているだけでも結構いける!
あと、ぜひYouTubeで
主演のオリヴィアの
オスカー受賞スピーチ動画を
見ることをすごくお勧めします!
めちゃくちゃ愛らしくて、
太陽なような人で、何度も見れちゃう(笑)