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女王陛下のお気に入りのtaominicocoのレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
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イギリス王宮の大奥の巻。

女たちのドロッドロの愛憎、権力争奪に百合の要素をプラス。
キャストの至極の演技や演出の芸術性がなかったら、ストーリーはもうハーレクインだよ。

言わずもがなですが、アン女王、サラ、アビゲイルは実在の人物。

イギリス宮廷内で実際にあったアン女王を巡る側近たちのドラマをコメディとして描いています。ブラックユーモアですね。そんなに愉快ではないから。

アン女王(オリヴィア・コールマン)は痛風持ち。ろくに歩けず、移動は車イスだし、大抵ベッドに横になっていることが多く、幼馴染であるサラ(レイチェル・ワイズ)がつきっきりで世話をします。

サラは冷淡な面もありますが非常に頭が切れる人物だったようで、実質、アンのブレインとして王政にアドバイスもしていたとのこと。ちなみに、子孫のひとりがダイアナ妃だそうです。びっくり!

サラは女王が最も信頼していた人であり、本作では愛する人でもありと、女王の人生になくてはならない存在として描かれています。

ですが、サラの親戚のアビゲイル(エマ・ストーン)を従女に向かい入れたことから女王とサラの関係が崩れ始めます。

最初はアン女王がサラにヤキモチを焼かせようとアビゲイルをえこひいきするのですが、狡猾なアビゲイルはそれをまんまと利用。自分が側近にのし上がり、かつ、身分の高い夫もゲット。

強欲なアビゲイルはそれに飽き足らず、ついには、サラを追い出すためにある画策を企てーーー。


キャストの演技について。

アン女王とサラを引き裂いたアビゲイルの強かさが圧巻でした。エマ・ストーンの美しいお顔で醜悪な性格って、怖すぎるよ 笑

でもやはり、オリビア・コールマンのトドのように動かない醜い女王の演技は、簡単に言葉にできないぐらいすごかった……。
彼女の演技を観るだけでも、本作の鑑賞の意味があると思います。

女盛りの40代中頃の女性が、あのように仕上げてくるとは。。。女優賞を総なめするはずです。

劇中で、アン女王の周囲が美しい、美しいと女王を持て囃すのですが、その様に虚しさが募るんです。少しでも美しさが残るアン女王だったら、そんな感情は湧かないしコメディとして成立しないはず。

本作の大きな柱を担った、オリビア・コールマンに心から拍手喝采でした。
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