女王陛下のお気に入りの作品情報・感想・評価

上映館(3館)

女王陛下のお気に入り2018年製作の映画)

The Favourite

上映日:2019年02月15日

製作国:

上映時間:120分

3.8

あらすじ

「女王陛下のお気に入り」に投稿された感想・評価

I fully understand that Olivia Colman won Oscar for best actress. She looks like another person with other film. Emma Stone and Rachel Weisz are absolutely wonderful.
sa

saの感想・評価

4.2
嘘をついて愛を深める、真実を吐いて愛を深める。このふたつの共存には限界があり、壊れてしまう。片方を求めても、両方を求めても。けど、偽っていれば悪影響を及ぼす。求めてたものを掴みとった瞬間、歯車も歪み出す。真実であったサラは必要不可欠なんだと思う。傷を背負って生きてる人は嘘に騙されやすいんだよね。
ウェルメイドなシネコン作品かつそのコードを逸脱するバッドテイストも含めいっぱしの作品、でも好きちゃう!
inotomo

inotomoの感想・評価

4.5
1700年代初頭のイギリス王室。女王であるアンは、持病と17人もの子供を亡くした経験から、心身共に病み、政治には興味も持てず、アンの側近であるサラが、政治を含めて大きな権力を持っていた。アンの幼馴染みでもあるサラは、アンの寵愛を一身に受け、友情以上の絆で二人は結ばれていた。ある日、サラを尋ねてサラの従姉妹であり、没落貴族の娘のアビゲイルが宮殿にやってくる。初めは女中の下っ端として働いていたアビゲイルは、野心たっぷりにアンに近づいていき、やがてサラの立場を脅かしていくことになる。

今年のアカデミー賞に数多くノミネートされていた作品。冒頭で、美しい弦楽器のハーモニーと、美しい美術と衣装が目に入った時から、一気に作品に引き込まれる。かといって、よくあるイギリス王室のコスチューム劇とは違い、現代的な感覚で作られた、美しくもどこか悪趣味で、ドロドロした人間ドラマ。広角レンズ、自然光で撮影された、そのどこか歪な映像は、そのまま物語の世界観を表現しているかのよう。時折出てくる、ひとつの音符だけを単調に繰り返す不思議な音楽も、見る者の心をざわつかせる。女同士の戦いに、同性愛的描写も絡めつつ、コメディ要素もあり。とにかく見応えある面白い作品だった。

アン女王、サラ、アビゲイルを演じた女優3人の演技合戦が作品の大きな見所で、(ちなみに出てくる男性キャラは皆ろくでなしばかり)皆オスカーノミネート。アンを演じたオリヴィア・コールマンは主演女優賞を獲得している。サラを演じたレイチェル・ワイズは、きりっとした知性溢れる佇まいが印象的で、男性的な魅力をきちんとサラというキャラに落とし込んでいるところが良かった。キャラクター的に旨みがあるのが、エマ・ストーンが演じたアビゲイル。とにかく野心家で、ずるがしこく、それでいて過去の経験がトラウマでもあり彼女の強さにも繋がっているところを、エマ・ストーンが見事に演じていた。最初に彼女が画面に現れた時から、その表情がそれまでの彼女の出演作とはまったく違っていて、女優としての力を感じさせた。そしてなんと言っても素晴らしかったのが、アンを演じたオリヴィア・コールマン。アン女王は、女王としてのプライドはあるものの、知性に欠け、見た目も平凡、それらのコンプレックスと共に、繰り返す流産や死産で17人もの子供を失った悲しみ、大人になりきれないわがままさを合わせもった、複雑で孤独で哀れな存在。オリヴィア・コールマンの演技はとても素晴らしく、セリフなしの表情ひとつでも、アンの心情を表現してるあたりが素晴らしかった。特に印象的だったのが、舞踏会の場面。着飾って舞踏会に出席するものの、サラが男性とダンスを踊っているのを見てるうちに、次第にアンの瞳の表情が微妙に変わっていく。セリフはないけど、アンのアップが長く続くこの場面の表情は忘れられない。そしてラストシーンのアビゲイルとアンのやり取りとアンの表情。詳しくは語れないけど、変化したアンとアビゲイルの関係性を表現した印象的な場面だった。

監督はヨルゴス・ランティモス。彼の作品は今回が初めて。俄然過去の作品が気になってきた。アカデミー賞作品賞をとってもおかしくなかったと思う作品でした。
紬

紬の感想・評価

2.1
物語の起伏がほぼない。
この監督では一番おもしろかったし、理解しやすくて、しかも「笑える」から驚いた。まさかこんなに歯切れのいい笑いを挟んでくるとは思わなかったので、なんだかすごく嬉しい不意打ちだった。笑

前半1時間はあまりにも素晴らしいので「やばいやばい。こんなにすごい映画久々に見た」と思っていたのだけど、後半1時間で「あ、この監督ってやっぱりこうだよね。。。」という印象。

いつもそうだけど、この監督は後半で一気にスローペースになるか、物語の決着がどこに行きたいのかわからないまま、だらだらと間延びしてしまう印象がある。

それを差し引いても、ここ最近ではかなり面白くて、インパクトのある作品だったことは間違いない。

自然光のショットや、魚眼レンズ、毒にあふれたジョークがぽんぽんと飛び出る「あまりにも面白すぎる前半」のためだけでも、絶対に見ておくべき映画。
Shinjiro

Shinjiroの感想・評価

3.9

このレビューはネタバレを含みます

王様や王子様、男性貴族といった男性の権力者に対し、恋愛を利用して登りつめていく女性のサクセスストーリーを、女王陛下を巡るそれにした点で新しい印象を抱いたが、史実を基にした作品らしい。母性や弱者に対する優しさを感じる点は異なるが、嫉妬や若さ、地位、今までの関係性等を利用して駆け引きする点は女性間の恋愛であっても同じなのかと思った。
亡くなった子どもの代わりにうさぎを飼うという設定の意図は、いつまでも子どもに対する愛を忘れない母性の表れを強調するため?また、『ロブスター』では好意=性の象徴として利用されたうさぎを籠の中に入れていることは、男性との関わりを抑圧された女王の禁欲を表すもの?うさぎだらけのラストシーンは、あくまでアビゲイルは女王陛下のペットに過ぎないということを表しているのだろう。
男性の単純さ(馬鹿げたことや快楽的なことに興じる)が、女性の賢さ、狡猾さ、強さを強調しているように感じた。
王室の中に閉じ込められ、国民の生活の安定を望みつつも、外で起こっている出来事を知る方法は臣下からの報告のみで、決断を迫られ苦悩する女王の姿は、『籠の中の乙女』のメッセージに通じるものもある。また、女王の目が見えなくなっていくのは、『ロブスター』と共通しており、女王の国内情勢や臣下の企てに対する盲目さを表す点にありそう…中心は膨らみ周辺は歪む魚眼レンズ(?)を多用してたのも、女王の視野のメタファー?
ロブスターを競争させたのは単純に面白かった。深く考えると、サラとアビゲイルの姿のメタファーかも(硬い甲羅の下に下心を隠しつつ、ハサミで戦う姿)。
『籠の中の乙女』、『ロブスター』、『聖なる鹿殺し』を見返して、もう一度今作を観てみたいと思う。
ヨルゴス・ランティモス監督の作品の中では大人しい印象を抱いた。もっとも、エマ・ストーンの演技は激しく、とても良かった。
kimi

kimiの感想・評価

4.2
オンナってコワイよ。
18世紀、イングランド。
アン女王と、実質的な権力者で幼馴染みのサラ。
二人の間柄に入り込む元貴族のアビゲイル。
国の命運を決める場所で渦巻くのは、
三人の「女」の個人的な思惑。

女王とは実に人間的な関係を築いてきたサラ。
時には叱り、時には甘えさせ。
泥風呂での二人にしかわからない笑いが印象的。
一方、貴族への成り上がりに執着するアビゲイル。
褒め称え、寄り添い、共感し、媚びへつらう。

方法は違えど、二人の目的は同じ。
アン女王に気に入られること。
それは権力を握るために、あるいは地位を得るために。

二人の女が争う一方、
アン女王はほくそ笑んでいるかと言えばそうでもない。
「気にいる側」にいるにもかかわらず、
サラとアビゲイルの存在に依存せざるを得ない女王。
なんなんだこの構図は。
愛をめぐる幼稚な争いかと思いきや、
みんながみんなプレイヤーじゃないか。

三人の結末を思えば、
どこかで取り返しのつく分岐点を探してしまうが、
したたかに上だけを目指したアビゲイルに、
アビゲイルを蹴落とすことだけに執着したサラに、
愛に飢えたアン女王と、
もうこの結末しかあり得なかったのではないだろうか。

涙を流すアビゲイルも分かっていたのでは。
個人的な思慮を挟む余地はない。
もう私はこのまま突き進むしかないのだと。

実に監督らしい陰湿な作品。
エマ・ストーンの女優としての凄さを改めて実感した。
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