そこは描かなくても良いだろ、と言いたくなる日常のノイズみたいなものから、作品のメインテーマに関わる現代アートに関する事まで、
とにかく居たたまれなさ、気まずさ、意地悪さ、を寄せ集めたような作風は前作と同様。その上でバリエーションやユーモアのキツさがレベルアップしている。
前作『フレンチアルプスで起きたこと』では一見、うまくいっているように見える家庭における父親の欺瞞に対し、真綿で締め付けるように追求する作品だった。
今作『ザ・スクエア』が矛先にしているのは、現代美術界に関わる人々と、彼らが掲げる、社会貢献といったような欺瞞。「SGD'Sが」とか軽々しく口にしてビジネスチャンス探ってる人種にただよう、あの怪しさ。
その意味では痛快な作品だった。
ちなみに本作に登場する現代アートは全て元ネタが在るらしい。あのサル人間も。
巨大ビジョンにあのサル人間がゆっくり動いている絵の、アクの強さ堪らんかった。
またもやパルム・ドールを獲った次回作『Triangle of Sadness』も楽しみ。