サラリーマン岡崎

ザ・スクエア 思いやりの聖域のサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

4.8
アカデミー賞外国語映画賞公開ラッシュ3作目。
日本公開が決まってるものだとこれが最後。

今回の外国語映画賞ノミニーは「籠る」ということが全体的に感じられる。

ラッシュ公開の1作目『ラブレス』は「家族」という集合体に属す主人公たちが自らの表面上の幸せに夢中になり、他人に関心を向けられない現代人の無情さをうたう。
ラッシュ公開の2作目『心と体と』は人との関わりを拒み、内に籠る2人の男女が同じ夢を見ることで解放される様を描く。

今回の『ザ・スクエア』はどちらかというと前者寄りの映画。
見て見ぬ振りの「傍観者効果」というものがテーマ。
みんな自分を守ることに必死で、他人を助けるなんてなかなかしない。
主人公も助け合いがテーマのアートを展示しながら、自己防衛。
娘たちの前で、その自己防衛の虚しい姿を見せてしまうのはとても恥らしいシーンw

昔は自分も助ける気持ちはかなりあったと思う。
でも、いつしか忘れて、疲れていく体になり、
電車で席を譲らなかったり、募金をしなくなったり。

民主主義も進む中、
特に国民性とかナショナリズムがなくなりつつあり、
いろんな犯罪が生まれてきてるからこそ、
こういう「籠る」人々が多くなってきてるのかもしれない。

戦争はないけど、個人間で自分を守るための戦いは増えてきている。
だからこそ、インスタ映えをし始めたり、
既読機能がついたり…。

そんな中で他者に深い愛情を与えることがテーマだった『ナチュラル・ウーマン』が外国語映画賞を受賞したのかもしれない。
(勿論トランプの影響が一番だと思うが)

この映画は実際にアート展示をしたらしい。
映画だけでなく、現実世界も使い実験をするこういうものをつくってみたいな。