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ザ・スクエア 思いやりの聖域のayellowbirdのレビュー・感想・評価

3.8
リューベン・オストルンド監督が、2017年・第70回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞したヒューマンドラマ。
現代アート美術館の学芸員(キュレーター)であるクリスティアンは、離婚歴があるものの2人の娘の良き父親で、電気自動車に乗り、慈善活動を支援している。彼が次に手がける“ザ・スクエア”は通りかかる人々を利他主義へと導く展示で、他人への思いやりや助け合いの心を訴えかけていた…。
予告編を見て、てっきりコメディかと思いきや、さにあらず。コメディタッチの演出や場面はあるものの、その笑いはシニカル。むしろ、他人への無関心や欺瞞、階層間の断絶など、現代社会が抱える問題を鋭く抉り出す社会風刺がテーマである。その象徴が、主人公が手がけた展示 “ザ・スクエア”。他人への思いやりという作品のコンセプトとは裏腹に、そのPRのために商業主義的な思惑が前面に立っていることに誰も気づかない。また、作品の舞台が、貧困層にも優しいはずの福祉大国スウェーデンであることも驚きと意外感を増幅させる。
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