批評的であることはいいけれど、心優しき映画ではないですね。
物語としては、現代美術館 X-Royal Museum のキュレーター、クリスティアン(クレス・バング)が、世の中の不誠実さや理不尽さが、実は自分自身の不寛容で不誠実で差別意識の反映だと気づかずどんどん深みにはまって、ついには解雇されるという話です。
結局のところ、この映画で取り上げられている人間の不誠実さや不寛容さといった社会的には否定されるべきものは誰もが持っているものであり、仮にそれを批判的に取り上げるにしても、自分自身も同じであり、それが人の弱みであり、時に思わずやってしまった時、誰もが人に知られたくないと思うものだと、たとえば、ちょっと急いでいれば他人への思いやりなど割と簡単に飛んでしまうものだということをわかっていると感じさせる映画でなければ、つまり批評の視点でしか撮られていないのであれば、「ハイ、ハイ、もうわかりましたって!」と言うしかないということですかね。
http://www.movieimpressions.com/entry/2018/05/01/195837