マクガフィン

ザ・スクエア 思いやりの聖域のマクガフィンのレビュー・感想・評価

3.9
意識高い系で表面上はリベラルで装うインテリでエリートな男が主人公。自業自得だが、ふとした行動で次々に奇妙な出来事が起こり、次第に相乗するかのように膨れ上がり、窮地に追い詰められていくことを様々な現代社会の問題に照らし合わせて、アイロニカルなブラックなエピソードで展開するので興味が尽きない。現代社会をアート文化の爛熟期に照らし合わせたようにも。

現代社会の人々が抱える格差や差別といった問題を抉り出し、様々な問題を問いかけられて倫理観を揺さぶられる。それと同時に、プロットやサブプロットの冗長や醜態で観客の寛容のキャパを測られている気分になる。151分は長いが、それを言うと監督の思う壺で、キャパの浅さを露呈するかのように。

終盤のパーティーでのモンキーマンのシーンに引きまくる。モンキーマンは、ポリティカル・コレクトネスのメタ的かな。
男と女・世代間・貧困・人種問題などの平等を提示されても、表面的に理解を示す人は多いだろうが、しかし、「全ての区別をなくすこと」の行き着く先は、「人間と猿も一緒で良いの?」と平等を強烈に皮肉ったと(拡大?)解釈。ポリコレの枠内には議論することが論外になった事項もあり、ポリコレに支配された現代社会の倫理における矛盾を問いかけのように感じて傍観者効果を訴えるだけでないと感じたが如何だろうか。

一つの問題に様々な選択や判断があり、二者択一で解決できないモラルジレンマのようでも。また、第二次判断で最初の判断が揺らぐ模様や、規律やステレオタイプの枠に収めるような、リベラリズムやポリコレの他律的行為の是非を問うことは興味深い。

興味は尽きないが151分は長い。冗長な箇所がいくつかあり、完結しないこともあるが、逆手にとったり、反転して人間のエゴが焙りだされる模様は秀逸で相性が良かった。

観賞中に作品同様の問いかけを現実に体験したことはコメント欄に。