いの

ザ・スクエア 思いやりの聖域のいののレビュー・感想・評価

3.9


『Loveless』と今作を2作続けて鑑賞。キツいっす。


ひとつ空席をはさんで隣に座ったおじさんと、最初から同じタイミングでクスクス笑い、このまま楽しく時間が過ぎていくのかと思ったら、やはりそうはいきませんでした。策を練っていた時には楽しかったお手紙作戦が、上手くはいかなかったように。


しばらくすると、少し離れた後ろに座っていたおばさん(多分)たちが、お茶の間空間的なお喋りを始め出し、他の観客たちにとっては、気まずい空間となりました。まるで、インタビューの際の、ワレメとかオッパイとかの、あの気まずさのように。やることなすことうまくいかない主人公のように。


映画のなかの出来事と、映画館内とがシンクロし始めました。おばちゃんたちのおしゃべりは止まらず全くやれやれですが、私はもう覚悟を決めて、この気まずい状況を受け入れ、このまま突き進むことに決めました(えらいぞ)。


現代アートの美術館を舞台とする話ですが、この映画そのものがきわめて現代的。人々の気を引くために作られた動画広告が思わぬ批判を買ったために謝罪するとか、上司の責任の取り方の問題とか。いままさに国内でも展開されている話です。表現の自由の天井の話は、すごく面白かった。福祉大国スウェーデンで、物乞いの人があんなにいること。upperとlowerとの間に横たわる深い溝。


とにかく気まずい映画。この映画の長さも気まずさのうちのひとつ。猿人間のパフォーマンスの長さも気まずい。お願いだからもう終わって欲しいと思う観客の願いを承知のうえで、長々と続ける監督はいやらしいぞ。だけど、少年とのやりとりをめぐって、主人公が最後にとった行動には、こういった心境に至って行動してくれて良かったと、私も気まずくはなりませんでした。