ラッキーマウンテン

ザ・スクエア 思いやりの聖域のラッキーマウンテンのレビュー・感想・評価

3.9
作中の出来事も人物も煮え切らない。散文的な作品で人を選ぶと思う。
私も嫌いじゃないが、これが世界一好きな映画だと人に言われたら戸惑うと思う。
しかし、前作のフレンチアルプスはよくわからなかったけど、今回観てなんとなくわかった。
この監督、悪い底意地が深すぎて地球の裏側まで行っちゃったのが地上に出てきてて、それがこの監督の作品なんじゃないのか。

冒頭、物乞いからの募金おばさんの流れから早速キレキレの皮肉を効かせている。
皮肉のないシーンなんか1秒もないんじゃないか?と思ってしまうあたり、多分手の内で踊らされてるんだろう。
アートや社会、その他諸々の全方位に喧嘩売ってると思うけど、どれも真正面から問われたら言い返せないし、誰が何が正しいとは言い切れない問題だと思う。
多分監督自身も答えは出せてないと思う。出てたらこんな映画作ってないはず。

150分と長いほうだが、今回は眠くならないで最後まで観られた。
前作をあまり覚えてないけど、アート映画っぽいカットが増えてた気がする。あと単純なカメラワークの技術が高いですね。
個人的にはウィペットが可愛かったので0.1加点している。

しかしこんな楽しくもなく何か大事なことを得られるわけでもなく駄作だと罵るような感情も湧き起こらない映画を、なぜ人は観に行ってしまうのだろうか。
我々はその秘密を解き明かすため、ジャングルに向かった…。おわり