Kaz66

ザ・スクエア 思いやりの聖域のKaz66のレビュー・感想・評価

4.1
福祉国家として名高いスウェーデン発の昨年('17)のカンヌ:パルムドール作品。
“これでもか!”ってぐらいに、様々な現代の社会風刺(人種・格差・貧困・LGBTQ・ダイバーシティ)が、シニカルに/ニヒルに151分延々と描かれます。
それが『身につまされる』というか、そうしちゃうのも分かるけどそれって“汚れてる”って事だし、一方で対比的に描かれる側にも同意出来ないし、というフツフツとした思いがずっと続きます。
それを『ザ・スクエアとは信頼と思いやりの聖域。その中では我々は皆平等な権利と義務を共有している』という現代アートを舞台に、スクリーンという四角形の外側からまざまざと見せていくという…。
今読んでる本に、『ホフステッド指数』ってのがあって、それは『権力格差指数』=社会の風通しの良さ(言いたいことが言えるとか、忖度圧力が弱いとか)を全世界の調査により数値化したモノなので、それによるとスウェーデンはとてもオープンな国で日本の3倍くらい不平等感が小さいハズなんです。
そんな国からこんな風刺的な映画が出てきたって事は、日本の社会ってスゴイことになってる!そしてソレを僕らは気づいててか気付かずか放置してる!という事を目の前に“ポン”と置かれたような、、ホント凄い映画でした。
Kaz66

Kaz66