JTKの映画メモ

ザ・スクエア 思いやりの聖域のJTKの映画メモのレビュー・感想・評価

3.6
アカデミー賞は比較的誰もが楽しめる娯楽作が受賞する傾向にあるが、カンヌはどちらかというとクセのある作品が受賞する場合が多いような気がする。
この作品も底意地の悪いブラックユーモア溢れる独特の世界観を持った作品で、かなり好み。

普段、人々は"偽善"という仮面を被りながら、己の"欺瞞"や"不寛容"や"エゴ"や"差別意識"に目を逸らしやり過ごす。
そこをツンツンと突いてくる視点の底意地悪さが面白かった。

後半、美術館のキュレーターにして富裕層の主人公クリスティアンは自己のエゴや差別意識に気づき反省し改心し行動に移すも報われず終わる。ちょっといい気味。その呆気ない終わり方もいい感じだった。

タイトル通りスクエア="四角"をモチーフに物語は進むが、自分は「どうせ人間なんてロクなもんじゃないんだで、クソ真面目に四角四面に考えたり生きんでも、適当にやっとりゃ四角いもんも丸く収まってくわ」というふうに解釈したけどね。どんなこと思おうが勝手なんで。

2時間半もあったけど、それを感じさせない妙な魅力があった。
そうそう。効果音も妙な魅力に大いに貢献しとったわ。普通の映画には使われない音やノイズが溢れとって。