SUI

悪魔の愛人: リダ・バーロヴァのSUIのレビュー・感想・評価

2.0
世界大戦前夜のベルリンで、夢をつかみかけた駆け出しの女優リダ。
彼女がその美貌によって、ナチス政権の国民啓蒙・宣伝相ヨーゼフ・ゲッベルスに見初められ、親密になっていく様子が描かれている。

リダがゲッペルスの愛人になるまでを長く取っていた割に、愛人になってからの見所は奥さんとの対峙だけ。
しかもポーランド侵攻前夜の「水晶の夜」(戦前最大の反ユダヤ主義暴動)直後にドイツを離れてしまうために、ナチスがその権勢を誇り、ホロコーストが横行していた戦時中のエピソードはなし。
そもそも、ゲッペルスも時の権力者以外の魅力は表現されていいないので、リダが彼のどこに惹かれたのかがもうひとつはっきりしない。
彼女の中にある野心のようなものは薄ぼんやりと見られたが、だからといって女優としての成功を秤にかけた計算高い悪女のような表現もされていないし、ゲッペルスに傾倒するまでの苦悩も懊悩も描かれていない。
それが見れるのはラストの20分、戦後の、しかもリダ自身ではなく、彼女の家族の苦難だけだ。

このように、人物像も薄っぺらくて感情移入ポイントはなく、物語も凡庸でどこに面白みを感じらればいいのかわからない。
せめて「類い稀な美貌でゲッペルスのみならず世の男どもを魅了する」という設定のリダ・バーロヴァ役に美女を起用してくれればまだ見甲斐もあったけど、画面に映るリダは私の基準では割と不細工な部類に入る。
むしろ妹の方がよっぽど美人という残念さ…。

まったくいいとこなしである。
SUI

SUI