のんchan

ナチュラルウーマンののんchanのレビュー・感想・評価

ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)
3.9
一昨日鑑賞した『グロリアの青春』があまりに好みだったので、セバスティアン・レリオ監督を追ってみた。

この作品はトランスジェンダーの女性が世の中に渦巻く偏見、荒波に負けず、痛々しい経験をしながらも強い意志で前進する姿を描いている。

原題 "Una Mujer Fantástica" (素晴らしい女性)
それが直訳した英題の "A Fantastic Woman" になっているが...
邦題が"Natural Woman"になると...
ん〜やっぱりイメージが違う、どうしても乖離を感じてしまう😒


トランスジェンダーの歌手マリーナ(ダニエラ・ベガ)は、父親ほど年上の恋人オルランド(フランシスコ・レジェス)と熱愛中で一緒に暮らしている。マリーナの誕生日ディナーで、オルランドはイグアスの滝への旅を提案するが、彼はその夜に急死してしまう。突然の恋人との別れに戸惑うマリーナだが、そんな彼女の気持ちを他所に、トランスジェンダーへの差別がオルランドの死を巡って様々な偏見となり直接的にぶつけられる。
行きすぎた警察の捜査、葬儀への参列を拒む元妻、自分と同世代のオルランドの息子。親戚の中でたった1人オルランドの弟だけは理解してくれていたが...
そんな辛い心境の中、マリーナは歌の老師匠を訪ねる。そこでとても力付けられる。『愛は探すものではない。愛を動機に平和の手段に...歌いなさい♪』と。そして、この作品を強烈に印象付けるシーンへ変わる。飛ばされそうな強風の中マリーナは前に向かって進み続ける(Michael Jacksonのゼロ・グラヴィティのよう)
そして最愛の人を葬る一瞬でも立ち会い、それから強く生きて行く決心をする。


トランスジェンダー🏳️‍🌈は今では理解出来る人々が増えたと思う。自分自身はどうだろう?頭ではスンナリ理解しているつもりだけど、もし家族がそうだったら?問題無く受け入れられるかは答えが出ない。
ただ、このような映画は広く認識させる為に重要だと感じる。

鏡を効果的に使って、性を意識的に映し出している。マリーナが裸になり、性転換した部分に鏡を置く🪞そこに自分の顔を映し出す。とても象徴的なシーン。何も違和感は無かった...

全体的な色使いやマリーナの衣装も素敵だった✨
やはりこの監督とは相性が良さそう💞


主役を演じたダニエラ・ベガはチリの女優でメゾソプラノ歌手、そしてトランスジェンダー女性である❣️
ラストにシックなブラックドレスで歌い上げる『オンブラ・マイ・フ』は震えるほどに素晴らしい✨🎵✨

オルランド役はチリの有名なメロドラマ俳優らしい。役柄は57歳となっていたけど、もう少し上に見えたなぁ...でも清潔感あってお洒落なイケジジではありました☺️


※チリ🇨🇱に初めてのアカデミー外国語映画賞をもたらした貴重作品🌟
のんchan

のんchan