かたゆき

ナチュラルウーマンのかたゆきのレビュー・感想・評価

ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)
2.5
一回り以上年の離れた恋人と暮らすマリーナは、もともと男性として生まれたものの今は女性として生きるいわゆるトランスジェンダー。
社会の片隅で目立たないようにひっそりと、それでも愛する人と二人で充実した日々を過ごしていたそんな彼女にある日、悲劇が訪れる。
恋人であるその会社社長が脳梗塞を起こし呆気なく亡くなってしまったのだ。
突然のことに動揺を隠せないマリーナだったが、そんな彼女を更なる悲劇が襲う。
久しぶりに連絡を取った彼の家族からあからさまに侮蔑の目を向けられたばかりか、正式な配偶者でもない彼女は警察からもまるで犯罪者のような扱いを受けてしまうのだった。
葬儀にも来なくていいと言われ、二人で暮らしていたアパートも即刻明け渡すように命令され、彼女が反発すると今度は家族から執拗な嫌がらせまで受けてしまう。
そんな哀しみに打ちひしがれるマリーナの人生に明るい光は差すのか――。
実際に自らも性的マイノリティ―である女性が、そんな世間からの偏見・差別に苦しむトランスジェンダーを演じたヒューマン・ドラマ。

アカデミー外国語映画賞を受賞したということで今回鑑賞してみました。
南米チリで制作されたということですが、確かにキリスト教の影響が色濃く残るこの国で苛烈な差別に苦しむ女性の魂の咆哮とでも呼ぶべき苦しみは充分伝わってきました。
ただ人並みに幸せに生きたいだけなのに、それを許さない社会というのはいまだ根強く残っているのですね。
特に第三世界でこそ社会の偏見はまだまだ根深いことが痛いほどよく分かります。
ただ、一本の映画として観れば僕はそこまで高評価するわけにはいかなかったです。
正直、このマリーナという主人公に僕はそこまで魅力を感じませんでした。
なんか終始暗いんですよね、この人。
内容的にそうなってしまうのは分かるのですが、もう少し笑顔というか、少しでも前向きになれるような明るい部分も欲しかったです。
映像も終始暗く、とてもセンスがいいとは思えません。
同じくトランスジェンダーを扱った映画でもいい作品はたくさんあり、その中で本作を比べてみると僕はやはり高い位置に置くことはできませんでした。
こればかりは好みの問題かもしれませんね。
かたゆき

かたゆき