MTFトランスジェンダーの女性が父親くらい歳の離れたおっさんと同棲してるんだけど、ある日おっさんは動脈瘤破裂で死んでしまう。したらそのおっさんの別れた妻や息子などがしゃしゃり出てきて、通夜に来るな葬儀に来るなと彼女を疎外する上に、警察からあらぬ疑いまでかけられて散々嫌な思いをするという話。別に彼女は多くを望んでいるわけではなく、ただ自分らと一緒に暮らしていた犬(こんな可愛いシェパード初めて見た)と彼との最後のお別れと敬意を持って扱われることを望んでいただけだったのに。
彼女は法的にはおっさんの家族じゃないので、遺体に会わせてもらえないんだよな。映画の最後の方で火葬場になんとか潜り込んでひっそりと遺体に対面するまでは、お別れができてなかったんだなあと気付いたら泣けた。
法的な家族じゃないとかトランスジェンダーだというだけでいろいろいらんことを聞かれて調べられたりするの、ほんまひどいと思う。一緒に暮らしていた人が亡くなったのだから、そこはお悔やみ言われてしかるべきところで取り調べだもんな。資料のために裸の写真撮られたりとか。
愛人が葬儀に来るのはトランスジェンダーじゃなくても微妙なものだが、おっさんの場合は離婚していたわけだし、拒む理由ないよな。ほんと偏見だ。
そういったひどい目にあう主人公の悲しみを淡々と描いててグッとくる映画だけど、グッと来ているだけではただの消費なんだよなあ。こういう状況に対して怒らなければ。
