くまくま

ナチュラルウーマンのくまくまのレビュー・感想・評価

ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)
3.3
年上の恋人に祝ってもらった誕生日の夜。その恋人を突然失ってしまった主人公。
恋人との幸せな時間の終焉の後に主人公に襲い掛かってきたのは喪失、そして差別や偏見、嫌がらせ。
何度か登場する「私は私」と自分自身を再確認しているかのようの鏡に映る自分を見つめる主人公。
強風に向かって避けることなく真正面から突き進む主人公。
理不尽な目にあっても言葉や暴力で対抗せず、感情の高ぶりををサンドバッグに叩きつける主人公。
それらのシーンはトランスジェンダーとしてではなく「1人の人間」として尊厳を持って、亡くなった恋人の最後を見送るという当たり前の、自分がしたい事のために静かに力強く闘う姿の象徴のように思えた。
あえて今回「彼女」「彼」ではなく「主人公」と記した事には理由がある。
「君は何者なんだ」「どっちなんだ」と何度か質問をされた時の主人公の返答 ― 「人間だ」
主人公も演じた主役もトランスジェンダーだからではなく、「人間」が力強く生きていく姿の美しさが描かれた作品。
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