体が男性で心は女性のマリーヌが、たったひとりのオルランドを愛し、傷だらけなりながらも〝私〟として生きる姿が美しかった。
マリーヌが鏡の中の自分を無言で見つめるシーンが何度も出てきた。
「どれだけ蔑まれても私は私。あの人が愛し肯定した私」と己に言い聞かせているようで、寄る辺なき者のみが持ち得る美しさに打ちのめされた。
ダニエラ・ヴェガは今後も注目していきたい。
劇中で流れるyou make me feel （natural woman）に、思わず涙がこぼれた。
オルランドに出会う前、人生はマリーヌに優しくなかった。
落として失くした彼女の魂をオルランドが取りに行ってくれた。
だから彼を喪くしても、愛によって肯定されたnatural womaとして強く生きていけるのだ。
