賽の河原

ナチュラルウーマンの賽の河原のレビュー・感想・評価

ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)
3.7
チリを舞台にした映画ということで、全編スペイン語だったので字幕は不要でしたね#スペイン語再履修マン
「ストーリーを暗示するオープニング、俺は結構好きな部類に入るけど、この映画に関してはなあ...」とか思って半ばナメて観てましたけど、とっても面白かったですわ。参りました。
基本的にはいわゆる「トランスジェンダー」の主人公が色々虐げられるんですけど、作りが上手くて主人公が「こうだからこうなったんだ」とか「そうじゃなくてこうやろ!」って説明したり反論したりっていうシーンが意図的に完全にオミットされてるんですよね。
もうね、「『私はあなたみたいな人、よく分かるから』とか言ってる奴が全然分かってくれない感」とか、「『傷つけてしまったら申し訳ないけど』とかいう前振りからどうしようもなく酷え発言」とか、「良き理解者と見える人物が見せる些細な仕草から見える偏見」とかもうね、本当に我慢に我慢を重ねる展開で辛いっすね#我慢
我慢が重なるからこそ、要は主人公への追い込みが激しいからこそ終盤の展開のカタルシスも大きいですし、脚本的にも最後に大きな空白が残っていて解釈の深みがあっていいですよね。
「どうせ説教くせえ話だろ」とか思ってましたけど、普遍的な「喪失と再生の物語」で最高でしたね。去年の「セールスマン」にしろ「サウルの息子」にしろアカデミー外国語映画賞の作品は結構鉄板で面白いですね
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