安堵霊タラコフスキー

ナチュラルウーマンの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ナチュラルウーマン(2017年製作の映画)
3.9
女は二度決断するという本命が不在だったのを好機とアカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品、という印象ではあったものの確かに多様な性の時代を象徴する映画にはなっていた。

まず何故邦題が普通にファンタスティックウーマンじゃなかったのかと疑問に思ったが(アレサ・フランクリンの曲と同じにしたのかもしれないがやはり紛らわしい)、言われないとトランスジェンダーなんてわからない主役の姿は生きたいであろう女性そのもので、そんな人間をトランスジェンダーというだけで冷遇する馬鹿らしいとは確かに思えた。(だから結構見ていて胸糞は悪くなった)

特段個性的な演出は目立たなかったけど、性に対する表現が繊細かつ丁寧で(例えば主人公がしっかり女性トイレに篭ったり)、とにかく性についての主張したかったのは伝わって好感を持てた。

クラブの幻想的なダンスシーンや歪んだ鏡のシーンも良かったしラストのombra mai fuも美しい歌声で、思った以上に満足度の高い作品だった。