さわら

ミスター・ロンリーのさわらのレビュー・感想・評価

ミスター・ロンリー(2007年製作の映画)
5.0
老人ホーム施設で、「永遠に生きよう」と老人たちに呼びかける偽マイケルこと、ミスター・ロンリー。偽マリリンに恋することで、生きることで伴うどうしても不可避な“死”と、その死にいたるまでの、これまたどうしても不可避な“孤独”の存在に気づいていく。自分自身の存在を否定し虚構に生きても、どうしても逃れられない死と孤独に、虚構に生きる旅を終わらせ、現実と向き合い懸命に生きようとする健気さに胸を抉られた。
また、虚構にまみれた世界のなかで、きっと愛だけは本物だったと思うと泣けるよね。

尼僧たちのブルーの装束と、同じブルーの空。そこを裂くように落ちるスカイダイビングシーンは是非映画館の大スクリーンで観たすぎる。また、Bobby Vinton『ミスター・ロンリー』もがっつり味わいたい。パリに戻ってきてからの、玉子を眺めつつのIris Dement『マイ・ライフ』もクソよかった。音楽に画に、最高の映画体験だ!

恋愛というより“意志”の映画。「それでもここで生きていく」と覚悟を決めた男を、誰が後ろ指をさせるだろう。一生の幸せを求めるんじゃなく、束の間の人生の幸せを夢見て死ね!ウルトラ超絶大傑作。ほんとほんと愛せざるおえないし、涙が止まらないよ!!