こ

素敵なダイナマイトスキャンダルのこのレビュー・感想・評価

3.0
予告編から得る印象とはだいぶ違う映画だと思いました。ぼくは末井昭さんのことは本作のあらすじぐらいでしか知らない状態で観ました。この映画を観て、末井さんが世に打ち出して来た雑誌の数々がいったいどういうもので、どんな影響を世間に与えてきたのかというのは分かるようには作ってなかったと思います。なので、昭和時代のサブカルチャーについて分かると思って観ると肩透かしを食らうかもしれません。でも、監督自体はそこが描きたかったわけではないんだなと思いました。

母親のダイナマイト心中という衝撃的な事件から話が進むわけですけど、けっこう人生のどんなターニングポイントも淡々と描かれてるんですよね。主演の柄本佑さん、冨永監督、真利子哲也さん(『ディストラクション・ベイビーズ』監督)のトーク付きの回で観て、その時に監督も「前半は普遍的な青春映画だけど、後半からは主人公が何を考えているのか分からないサスペンスにしたい」とのことだったようで。だから、どういう気持ちで主人公がいるのかがどんどん分からなくなっていく。生業としているエロ雑誌について熱く語るようなシーンもないし。でも、そこがいいんだろうなと。
こ