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素敵なダイナマイトスキャンダルのamuのレビュー・感想・評価

2.6
テンポの良い明るいコミカル作品だと思ったら、意外と重めだし、しっかりすぎるほどしっかりした昭和の話だった。ああ、私、またやってしまった。勝手な期待、というかイメージ先行型な。すみません。すみませんついでに言いたいこと言うと、大根さんテイストで観たかったなあ、これ。テンポの良さ欲しかったし、明るさ欲しかった。タイトルになっている以上に母親のダイナマイトの一件が根底はもちろん、劇中、そして最後までこの部分が重く重く表現され、もう愛人相手である隣家の息子を若葉竜也がやっていることだけが回想シーンのたのしみにもってくるしかなくなっていた。尾野真千子も好きですけどね。爆破後のシーンなどリアル再現そんなしなくてもよくないかと思うほど結構エグくて、まさかスプラッター要素ぶち込まれるとは思わなくてだいぶ気持ち悪かった。

主演が柄本佑というのが今回鑑賞に至った最大の理由ではあるけど、引き続き自分的落合モトキ祭り継続中であることも理由にあったわけなんですが、、なななんという俺得脇勢キャスティング!!!!
あれ?この声とこの優しい雰囲気はもしや…と思ったら中島歩さんだし、いないわけが無いくらいの勢いで当たり前にそこに居てくれた毎熊ニキ。落合モトキと若葉竜也と毎熊ニキが一つの作品に絡んでいるというだけですこぶるテンション上がりました。これで藤原季節がいたらパーフェクトだったんですが、それは欲張りすぎでした。

昭和ファンて私の周りには割といるけど、何をもってしてファンなのだろう。私の思う昭和はまさにこの作品にみる昭和であり、そしてこの感じが私はちょっと苦手だ。ドラマ「北の国から」のような気持ち悪さ。

私の父親がまさに柄本佑同様、この時代をグラフィックデザイナーとして活躍していたから身内のなんとも言えない感覚からなのか変な気持ちもあったし、子供の頃に感じていた見てはいけない大人の世界、大人のいやらしさ(エロ)がすごくあった時代な気がしてならない。決して芸術ではなく。上野動物園や都美館に向かう時、その陰には子供が見てはいけないものが溢れていたり(ポルノ映画館や風俗店)だからその周辺にある喫茶店も大人のいやらしさを感じたりもしていた。だからトラウマじゃないけど、なんか気持ち悪いと感じてしまう。

だけど、昭和にものづくりへの熱を燃やした実在の人物ということでは若松孝二監督のことを描いた「止められるか、俺たちを」に非常に似ていて、似ている上に自分の父親や、また自身もデザイナーなのでこちらの話の方が共感できる要素が強いはずなのに、ただ気持ち悪い感で終わってしまった理由はなんだろう、監督のせいなのかなぁ、。

「止められるか、~」は大好きな白石監督で、あんなに夢中で観れた。ポルノ映画を撮っている話なのに、気持ち悪さなんて無かった。改めて、白石監督のセンスの良さを今作との比較で感じてしまった次第。

ジャケやタイトルロゴと作品の内容にイメージの違いがある点は「恋の渦」並み、これはなんだろ、昭和好きな男性には愉しめる作品かもしれないけど、私はたすくと脇勢に感謝のみの作品でありました。
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