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血を吸う粘土のminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

血を吸う粘土(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

美大合格を目指す生徒たちが通う地方の美術専門学校が舞台。東京の美大予備校での修行から戻ったヒロインは、制作用の水粘土が足りなかったため、倉庫にあった古い粘土を使用することに。しかしそれは、非業の死をとげた彫刻家の怨念のこもった粘土で、生き物のように動き、やがて生徒たちを襲い始めるのだが…という話。

面白くないだろうなあと思って借りたのだが、B級ホラーとしてはかなり優秀な作品。掘り出し物!
意思を持った粘土がうねうねと動きながら襲いかかり「遊星からの物体X」さながらに人体を侵食して乗っ取っていく映像が非常に良くできていて、低予算でスピード感はなくチープさは目立つものの、粘土の変形のバリエーションが豊かで観ていて楽しかった。監督が特殊メイクのスペシャリストということもあり、グロテスクなホラー表現の質が高い。アイドルオーディション出身の出演者で皆可愛いだけに、その不気味なメイクとの落差が激しくてインパクトがあった。
ストーリー的には最初の20分くらいは美術専門学生たちの葛藤が描かれていて、一瞬何の映画か分からなくなってしまう(^^)。地方の学校だと東京の学校で学ぶ受験生との差を埋められないと嘆く講師と生徒の姿や、才能あるライバルへの妬みなどが生々しくて重い雰囲気だったところで、いきなりホラー映画に変わるので驚かされる。
ツッコミどころとしては、死んだ彫刻家の親友役の津田寛治の登場と謎の開示が唐突なところと、ラスト10分のダラダラしているところかと。美術専門学校の一件が解決した時点で映画を終わらせて良かったのでは。あと、水を吸ったら蘇る粘土なのだから、埋めるなら金属製の容器に密封するとかしないと復活しちゃうじゃん!と思っていたら案の定だった。
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