けーはち

散り椿のけーはちのレビュー・感想・評価

散り椿(2018年製作の映画)
3.7
近年の『超高速!参勤交代』『殿、利息でござる!』『駆込み女と駆出し男』みたいな変化球/コメディや、るろ剣等の漫画原作のモダンなアクションの路線でない、正統派ちゃんばら侍スピリッツを感じる時代劇。

様式美を大事に。権謀術数とメロドラマが絡みながらも時代劇に馴染みがない人にも分かりやすい。映し出される四季折々の情景はキレイ。

もっとも、スクリーンの中では斯くも麗しくはあれど、実際、田舎経験者だと、裏が竹やぶで夏は蚊がわんわん飛んでいたり、冬は寒くてとてもじゃないが常にあんな凛としたたたずまいではいられまい、と思うフシはあるが……

岡田准一主演のたたずまいは憂いを湛えながら凛として、ひとたび剣を握れば鬼となる。低い姿勢から繰り出す撃剣は体幹も切っ先もブレず身体能力はかなりのもの。中盤まではまだ嗤う鬼の威圧感で命までは取らずにいたものを、後半になればなるほど殺意マシマシで鮮血もビュービュー。ラストバトルで背を向けた敵のケツをぶった斬る時代劇は初めて観たよ。いやはや美しい、お美事にごさりまする。