足拭き猫

散り椿の足拭き猫のレビュー・感想・評価

散り椿(2018年製作の映画)
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原作(未読)の流れを消化しようとしていたのか、話が説明調でブツ切れなのがとても惜しい。脚本でもっとテンポ良くできなかったのかな、と。
緒形直人が安定したうまさ。時代劇は重厚な感じで喋るのに自分が慣れているせいか、池松壮亮のセリフの軽い言い方が気になってしょうがなかったし、髪を結った女性を演じられる女優はもはや黒木華しかいないのか、とこれからの日本の伝統的映画の行く末が心配になったりもした。(芳根京子さんはまるで似合っていない)
映像はさすがのこだわり。紅葉をバックに障子の枠と枠の間に見事に収まっていた黒木華。馬が疾走する並木の場面や早春の富山の風景、長谷川等伯の金屏風が眼福。撮影に岡田准一の名があったのはびっくりした。
一緒に行った家人は正統派の映画が観られて良かった、今の映画に対する木村監督の報復だと言っていたが、確かにきちんと据えられて撮られた画は心地いいし、手持ちカメラでやたら揺れている映像の意義について改めて考えたりもした。ただし音楽で盛り上げようとしているのはうるさい。
岡田准一が主役と思いきや、話を進めていく役割は西島秀俊だった。