ふたーば

バック・トゥ・ザ・フューチャーのふたーばのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

デロリアンを復元した人がいるというニュースを見てオタク心に火が付き、20年ぶりくらいに鑑賞。想像以上に感動してしまった……この映画大好きだったけど、泣くほどとは思わなかったな。

昔はとにかくデロリアンとマーティが見たくて見てたんだけど、今見るともっと登場人物の人間の部分に興味が湧く。

例えば、55年のドクがマーティと別れの挨拶を交わすときにマーティの方がギュッと強くハグしてドクがちょっと驚くところ。昔は特に気にもしなかったけど、そうなんだよな……マーティの帰る未来ではドクは死んでしまうから、実質ドクとの今生のお別れの場面。万感の思いを込めてのハグなんだけど、それがドクには分からないし、マーティも伝えたいのに伝えられない。熱い友情が垣間みえるのに、微妙な温度差があってすっごくもどかしい。

それに破り捨てられたはずの、クッタクタになった手紙がドクの内ポケットから差し出されるところ……あそこも、長い間これを大事にしてきたこと、それからドクの変化をちゃんと表していてグッと来ちゃう。

それから改めて見るとやっぱりマーティを送り出すシーンは本当に最高。突発的なトラブルに見舞われたりして焦らすところはややわざとらしいっちゃわざとらしい。でも最後デロリアンが光の中に突進して消えた瞬間、静寂に包まれて風の音だけが聞こえるところ……ここにめちゃくちゃ感動した。

タイムマシンで人を送り出すというのは、残された人にとっては「失う」ということなのだ。ドクの場合、自分の一世一代の大発明さえ、夢みたいに跡形もなく消えてしまう。この、映画の真のカタルシスが与えられる瞬間に、ひとりぼっちの寂しさがほんの少しクローズアップされるところ、そしてその後、「やった~~~!!!」と引きの構図でドクが一人で雄叫びを上げて小躍りして、その後ろで映画のメインテーマが(まるでドクを「よかったね」と祝福するように)静かに奏でられているところ……ここすごいなぁ……全映画史の中でも屈指の名シーンなんじゃなかろうか。

まぁ人物描写の理解度が上がると例えばお母さんいくらなんでも鞍替え早すぎやろとか、親世代の未来変わりすぎやろとか色々気になるところもあるっちゃある。けど子供の頃はあまり気に留めていなかった伏線の張り方や個々の描写のうまさ、気の利いたジョーク、それになんといってもドクとマーティの友情など、大人になったからこそ分かる要素がたくさんあって、久しぶりに見て本当によかった。

あとなんやかんや、主要な登場人物達がみんなこの物語を通して最後は「未来を信じる」という方向へ変わっていくところなんか、すっごくゼメキスとスピルバーグの熱い心を感じちゃうな……
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