シネマスナイパーF

バック・トゥ・ザ・フューチャーのシネマスナイパーFのレビュー・感想・評価

-
やっぱプルトニウムの扱いに関しては悪い意味でアメリカンだなぁと思わざるを得ないよ笑
完成版こそ過去と現在をリンクさせた見事な脚本の見事な演出となっていますが、もともとはクライマックスは核兵器施設でド派手に帰還作戦をやるという全くの別物の予定だったというのだからいやいや勘弁してよと思っちゃうところもある
まあそこをウダウダ言うのはナンセンスってもんだなこの映画に関しては


非常に根深い問題のある、世に言う「セワシ理論」に近い
車でも新幹線でも大阪には行けるという、要は過程はどうであれ結果は変わらないですよという理論
確かにこの映画では写真を用いてわかりやすく説明しているというか、セワシ理論的にOKなら問題はありませんという話
詳しくは語りませんが、とは言っても結局明らかに何かしらの結果を変えちゃってはいるよねという点でセワシ理論的なタイムパラドックスが起こってはいる

ただこの作品の場合、都合よく未来を変えてやるためではなく、正しい未来を守ることが目的、ってのが超強力な後ろ盾なんですよ
もちろんタイムマシンなんてものが開発されてしまいそれに乗って過去に来てしまったということ自体が摂理に反する身勝手な行動だということは前提にありますけど、歴史の改変を阻止することが目的なんですよ
その過程がドタバタラブコメディってのが超面白くて、その結果未来が実はこうなってしまっちゃったよ!!!ワハハ!!!っていうもうこれ自体が科学を出汁にした盛大なドタバタコメディなんですよね
是非は別としてね

で、そのドタバタコメディっぷりが本当に面白い
点と点が繋がるんだけど、出来た線が想像していたものと違うんですけどっていう可笑しさ
オープニングの時計映しで時計台からぶら下がるバスターキートンクライマックスが暗示されてるように、よーく考えられてる
現在が過去に影響を与える数々の場面は心に沁みますが、その過去が現在に影響を与えたらなんととんでもねえ改変が起こっちまったという繋がってんだか矛盾してんだかっていうドタバタっぷり

旧式の女性観が固まっているくせして酒浸りな中途半端に箱入り娘ママの土台を垣間見たマーティのリアクションと、そのシーンによって現在のママがどう変わったのかを比べると面白い
弱気だけど実直な男ではあるパパがマーティの言葉を強引に信じ込まされる場面の絵面的そしてネタ的おかしさも笑うけど、それとは別の場面で現在では情けなかったパパが無意識かどうかはわからないが口にしていたある言葉をマーティが過去パパに教えたことでパパがどういう人間に変わったのか、これこそこの映画の楽しさである点と点が繋がる感動の先にある意外な結果という面白さの芯だよね

先述したパパが脅しを受けるシーンを初めとした現実とリンクしたネタも秀逸
とあるギターヒーローに知らず知らずのうちに影響を与えてしまうとかスケールがデカすぎるよ!
かと思えば、シュガーフリーのペプシが好物なマーティがバックトゥザフューチャー成功した後の寝起きのシーンで部屋にそのペプシが置いてあるとこなどモノを使った細かい演出も抜かりない
タイムマシンにスポーツカーであるデロリアンを採用したのもいい未来感で気持ちがいい!!!
手紙のくだりは多分読まずともドクは既にビデオで知っていたんだと思うわ
一度は未来を知ることの危険さを説いていた男だけど、多分マーティが帰った後に心変わりしたんだろうな
現在の時勢で「うーん、俺は未来に行く!!」なんてこと言ってるやつだったじゃんか
ちゃんと繋がってんのよ


純粋に楽しく夢を見れる時代があったんだなとしみじみと思っちゃうよ
ただただめちゃくちゃ面白いだけの映画ってのがやっぱ最高だよ