エクストリームマン

チャーリーズ・エンジェルのエクストリームマンのレビュー・感想・評価

チャーリーズ・エンジェル(2019年製作の映画)
3.2
No, Ben Affleck is Batman.

本フランチャイズにそれほど思い入れがあるとは思わないけど、映画版前2作は何度か観ているから、そことの違いが結構見えたような。クリステン・スチュワート、ナオミ・スコットに加え、素晴らしい新人:エラ・バリンスカを集めた結果できあがったものがこれだというのがなんとも。映画製作のどう転ぶかわからない面白さのいち側面ではあるのだろうけど、どちらかといえば遣る瀬ない。どうとでも面白くできただろうに、なぁ。個人的にはエリザベス・バンクスの手腕に相当疑問がある。言っても詮無いけど。

本作について、物語そのものとか、各場面の瑕疵は挙げ始めたらキリがないが、そもそも軽快な娯楽作であるためには、寧ろそうであればこそ、物語の中で保たなければならない一定程度以上の厳密さとか整合性があり、それらについて尽く不誠実、あるいは無関心であることが、面白味を殺し、冗長さと退屈さを際限なく加速させている。それは、現実や倫理という重力からある程度自由であるための対価だし、使い方によっては映画を圧倒的に飛躍させることもできるものだが、同時におざなりにすると、アクロバティックな時間のモザイクで作られている映画というフォーマットに映画自身が殺されてしまう。

笑わせる側が笑っていてはいけないのと同様、娯楽を創出する側が真顔の主張を剥き出しで並置することは、そのことをよくよく自覚し覚悟してやるべきだろう。やっていけないわけではないし、やったから必ず失敗するわけでも当然ないが、主張に引っ張られて映画世界が破綻してしまうのなら、それをするべきではない。この場合、主張の内容や正誤、真偽は関係なく、整合性の問題だ。