sanbon

チャーリーズ・エンジェルのsanbonのレビュー・感想・評価

チャーリーズ・エンジェル(2019年製作の映画)
3.4
"エピソード0"的な映画。

どうやら、今作はリブートではなく2000年版の流れを汲む続編という位置付けらしく「チャーリー・タウンゼント探偵社」が世界規模の秘密組織になって登場する。

その為、司令塔である「ボスレー」が個人名から役職名となり、同名のエージェントが世界各国に"複数人"いたり「エンジェル」に至っては「チャーリー」お抱えの女性探偵3人組から、特殊技能を持った"スパイ集団"として設定が変更されており、ハッキリ言ってかなり安直な規模感の拡張が行われている。

なので、この構図はどこかで観たような気がする。

どの国にも属さない独立した組織で、世界の裏側で起きている様々な悪行を秘密裏に解決し、それぞれの役職に則ったコードネームが存在し、組織の特色が色濃く反映されている世界観って、まるで「キングスマン」のそれである。

それどころか、よくよく思い出してみると今作のストーリー展開も、一般人からエンジェルに勧誘されたり、日用品を模した秘密道具が登場したり、世界的大企業が裏で糸を引く殺人兵器を追っていたり、組織内に裏切り者がいたりと、キングスマンのあらすじをどこか踏襲しているかの様にかなり似通っている。

まあ、前述した通り安直な規模感の拡張なだけあって、類似作が想起されてしまうのは致し方の無い事なのだが、今作は限定条件が"紳士"から“女性''に変更されている分、独自性は見出せている為パクリという程のものでもないので、セーフといえばセーフだろう。

ただ、チャーリーズエンジェルって元々はあくまで小規模の個人探偵事務所であった筈であり、今作のように普通にドンパチやって普通に人が死ぬような事って無かったように記憶しており、それが女性ならではのお色気要素と相まって"気軽さ"を作品の根幹に確立させられていたシリーズと認識していたのだが、今作のそれはそんな脈々と受け継がれてきた"暗黙の掟"すら放棄してしまっているような改変と言える。

また、チャーリーズエンジェルといえば"スリーマンセル"のバディムービーというのがお約束要素としてあるのだが、今作はそれぞれがバラバラの意志のまま出会い、チームとして結束していく"過程"がメインに描かれていくものだから、厳密に言えば今作はコンセプトから基本設定に至るまで、まるで本来のチャーリーズエンジェルとは違った路線を進んだ作風となっていた。

確かに、すでに成功事例がある展開や設定に似通って演出が施されている為、ツッコミどころも含め安定的に面白くはあったと思うが、果たしてこれをチャーリーズエンジェルというタイトルでやる必要はあったのだろうか。

そして、最後の最後でようやく真のチームとなって幕を下ろした為、今作はどこか前日譚のような感覚があり、次作でいよいよ本番といったところなのだが、興収的には中々やらかしたと聞く為、そもそもその次があるのかさえ微妙という、なんとも残念さが拭えない結末であった。
sanbon

sanbon